Law & Order UK

2014年10月12日
ご存じアメリカドラマのイギリス版。
第一話を見たがアメリカ版にかつらを乗せただけという印象。イギリス司法システムへの置換が難しかったのかな。ストーリーも借り物なのか、検察がおとり捜査をしているなんてのはイギリス司法ではありえない。これからより実態に即したオリジナリティがでてくるのか。

ところで、

スーパー!ドラマTVホームページ内に【NEW】LAW & ORDER: UKファイル Vol.2 イギリスの検察のようなイギリス司法制度理解のための参考ビデオがある。この解説ビデオを見てから本編を見た人は戸惑ったかも知れない。それが検察に起訴権限はないという言葉。

LAW ORDER_UK5

しかし、本編オープニングのナレーションは
"In the criminal justice system, the people are represented by two separate yet equally important groups: The police who investigate crime, and the Crown Prosecutors who prosecute the offenders. These are their stories."
"刑事法体系には、等しく重要な二つの独立した組織がある。犯罪を捜査する警察、そして容疑者を起訴する検察。これは彼らの物語だ。"

と始まる。これでは見るほうが混乱してしまう。どちらかが間違っているとしか思えない。

ところが、ことはそう単純ではない。
2003年刑事司法法以降、検察の職務権限が拡大し大半の起訴判断は検察に移る。警察は指針に従って検察の判断を仰がなければいけない。(解説ビデオでは検察は助言しかしないように言っているが、起訴判断の決定も検察が行う)その意味では起訴権限は検察にあるといっていい。しかし、軽微な犯罪や起訴までの時間的猶予がない場合などはCP(検察官)を通さず警察が直接起訴することができ、さらに、起訴判断は検察に移ったものの起訴自体は警察から発せられる(つまり手続き上の訴追権自体は警察に残っている)ことや最初に”被拘禁者を告発するに足る証拠が存在するか”を判断するのは留置管理官(CO)であることなどをみると警察に起訴権限があるようにも見える。つまるところ、起訴においては日本の警察と検察の違いほど明確な職責区分になっていない。(まだまだ警察の力が強い)

これらの理由で上記の解説ビデオとナレーションとの齟齬が生じているように考えられる。しかしドラマで取り上げられるようなものは重大犯罪が多いので本編ナレーション通りに受け取っておいても間違いではないと思う。

この辺りの事情は以下の論文が詳しい
イギリスの刑事訴追制度の動向―― イギリス検察庁をめぐる近年の動きを中心に ――小山雅亀
イギリスの刑事訴追制度の動向(補論)─2003年刑事司法法施行後の訴追方式について─小山雅亀

イギリス検察庁(CPS)のホームページには職責として以下の4つが記載されている。
■decides which cases should be prosecuted - keeping them all under continuous review;
■determines the appropriate charges in more serious or complex cases - advising the police during the early stages of investigations;

■prepares cases and presents them at court - using a range of in-house advocates, self-employed advocates or agents in court; and
■provides information, assistance and support to victims and prosecution witnesses.



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